第3章 面影のない君
「………」
克服したい気持ちはある。
水泳の授業が近づいているのも確かだ。
でも……。
私は目の前にいる渚くんと真琴くんから視線をズラして、キラキラと太陽光に反射するプールを見つめる。
優雅に水の中を泳ぐハルくんの影が見えて、少し…私の心情が変化する。
……でも。
ごくんっと喉を鳴らした私は、答えを待っている真琴くんと渚くんを見つめてため息を一つ。
そして震える口をゆっくりと開いて、小さく息を吸い込んだ。
「…わかった…」
ボソッと了承の言葉を口にした私。
それを見つめる真琴くんと渚くんの瞳がキラキラと輝き、思わずうっと反射的に体を引いてしまう。
了承したのは間違いだったか…。
すでに後悔の念が心に芽生えた私をよそに彼らは何やら作戦を立て始めた。