第2章 マネージャー
相変わらず楽しそうなやり取りをしている水泳部員を視界に入れながら、私はプールへと近づいていく。
「……あ」
真琴くんを振り切って、水着姿となったハルくんとバチッとフェンス越しに視線が交わった。
彼は一切目を逸らすことなく、こちらに歩いてくる。
その背後で私の存在に気づいた真琴くん達が見えた。
…が、それはハルくんの姿で遮られてしまう。
「マネージャーになる気になったか?」
ストンとしゃがんで私と視線を合わせるハルくんが、瞳を覗き込むようにして問いかける。
そよ風に揺れ動く漆黒の黒髪。
「マネージャーになったとして、私に何の利益があるの?」
そう問いかけ返した私を見つめたまま、ハルくんはさも当然だと言うように声を発した。