第2章 マネージャー
私にはもうその楽しさは分からないけど…。
今の水は私にとって脅威にしかならない。
それまで何の怖さも感じなかった水…。
それはほんの一瞬の油断と思い込み。
“怖くない”
そう認識していた水はほんの少しの事で牙を剥き、私に襲いかかった。
それから私は水と言う得体の知れないものを初めて“怖い”と認識した。
「…何を考えてる?」
「えっ」
じっとプールを見つめたまま考えこんでいた私にハルくんが話しかけてきた。
思わずはっとしてハルくんを見上げると、その瞳は私の思いを見透かすように真っ直ぐとこちらに向いている。
あっ…。
ぱっと視線を外すとハルくんは何も言わずに私の隣に座った。