第2章 マネージャー
ああ、めんどくさい奴に見つかったと思ってももう遅い。
「ねー今日はどうしたの?入部希望??」
「入部なんてする気ないけど」
逃げ遅れたと後悔する頭で渚くんの言葉に言葉を返す。
えーっ、と残念そうに項垂れる渚くんに当たり前でしょと心の中で返した。
嫌いな水にあえて入るこの部活の意味が分からない。
ちらっと渚くんの背後を覗くと、優雅に泳ぐハルくんの姿が視界に入り…消えた。
ざぶっとプールの中に潜ったハルくん。
…あ、嬉しそう。
前に見た時よりも表情が幾分か柔らかいハルくんを見て、ふっと笑みがこぼれる。
「うー…じゃあ何か用事?」
「えっ…?」
そう言われると何と答えていいのか分からない。
“ハルくんがどんな表情で泳ぐのか気になりました。”
いやいや、そんな事絶対言えない。
ぶんぶんっと頭を左右に振る私を見た渚くんはこてんと首を傾げた。