第2章 マネージャー
私は自分でも知らない内に、ハルくんの泳ぎに魅せられてしまっているらしい。
パシャっと水が跳ねる音に心臓が高鳴るのを感じる。
近づいて行く度に水の音は大きくなり、弾ける水しぶきが太陽の光に反射した。
わっ……!
バシャンッ!!
飛び込み台の上から丁度足を離し、水の中に切れ目を入れて飛び込むハルくんの姿が目に入り、私の足が止まる。
綺麗…。
そう思えずにはいられないほどしなやかで、目を奪われるフォーム。
いつまでも見ていたくなるその姿に息を飲んだ時だった。
「あーっ!由真ちゃんだあー!!」
プールサイドで同じくハルくんの泳ぎを見ていた渚くんがこちらに気づき、大きな声を出す。
「渚くん!先輩にちゃん付は…」
「えーっ?だってハルちゃんもマコちゃんもハルちゃんとマコちゃんだよ?」
よく分からない屁理屈を口にしてしかし…と言い淀む怜くんを余所に、渚くんはこちらに走ってきた。