第1章 水泳部と少女
「…あっ、ごめん。一緒に居るのが嫌だったら、先に帰るよ?」
「嫌なのか?」
黙ってしまった私にはた、と気づいた真琴くんが寂しそうに口を開いた。
それに続いて口を開いたハルくんに嫌じゃないけど…と返す。
嫌ではない。
それは本音だ。
ただ…、私が一番嫌いな水泳の授業を復活させた水泳部員と一緒に居るというのが少し気に食わない。
授業を復活させた件については、私はまだ恨んでいるのだから。
でもこうして優しい部分を見せられると、何も知らなかったあの時のように水泳部を恨むことが出来ない。
「…何で2人は水泳部を作ろうと思ったの?」
その答え次第では水泳部を許すことが出来るかも知れない。
そう思った私は、考えるより先にその質問を口に出していた。