第1章 水泳部と少女
温かくて甘いカフェオレを飲みながら外に出ると、むすっとしたハルくんがそこに立っていた。
「遅い」
「あっ、ごめん」
後半から真琴くんの事でハルくんの事忘れてた。
「ごめんハル。…これ、お詫び」
「お前もいたのか」
私の背後に目を向けたハルくんは、真琴くんから私と同じカフェオレを受け取るとすぐに歩き出した。
帰ってても良かったのに、律儀に待っていてくれたハルくんに好感度が上がるのを感じる。
「あっ…!」
そうだ、また忘れる所だった。
半分はこの為に教室に戻ったようなものだと、駆け足でハルくんの隣に並ぶ。
「これ、ジャージ。…あの、ありがとう」
「ああ。気にするな」
ちら、と私を見たハルくんは差し出した紙袋を手に取るとそれっきり黙ってしまった。