第1章 水泳部と少女
お互いにお互いが居たことが予想外でぱちくりと目を瞬かせる。
先に口を開いたのは真琴くんだった。
「こんな時間までどうしたの?とっくに下校時間は過ぎてるよ?」
「あっ…ちょっと忘れ物を…」
「忘れ物?」
こてんと首を傾げた真琴くんの瞳に見つめられうっ、と言葉に詰まる。
事の説明をするなら庭で居眠りをしていたことから話さないといけなくなり、それは面倒だと思うものの、真琴くんに見つめられるとなんとなく全てを話してしまった。
「そっかあ。俺もハルの自主練が終わるまで時間を潰してたんだ」
私の話を聞き終えた真琴くんは、サボっていたことには全く触れることなく自分の事も話してくれた。
何で時間を潰してたかまでは言わなかったけど。