第1章 水泳部と少女
「こんな時間まで泳いでるから風邪引いたんじゃないの?」
「…そういうお前も、この時間まで何やってたんだ」
そう言われるとぐっ、と黙るしかない。
ハルくんはずっと鼻を鳴らし立ち上がると私を見下ろして口を開いた。
「少し待ってろ」
「……え?」
理由を問う前にハルくんはタオルを手に取るとスタスタと歩いて行き、シャワーを浴びるとバタンッと更衣室に入ってしまった。
…帰っちゃダメなの?
と言うか、私…荷物取りに行きたいんだけど。
そんな言葉を既にこの場に居なくなったハルくんに言えるわけが無く、私は少し迷ってからストンッとしゃがみ込む。
初めから薄々感じてたけど、ハルくんって結構身勝手だよね。
むっとしながら心の中でぶつぶつと文句を並べる。
その間にも冷たい風は容赦なく吹いてきて、私は自分の腕を上下にさすった。