第1章 水泳部と少女
とゆうか…めっちゃ見られてるんだけど…!
ジッとこちらに視線を注ぐハルくんにドキドキと心臓が高鳴り、私は数歩後ろに下がる。
ハルくんは私を気にする様子も無く、数回頭を左右に振ると水から上がってきた。
ポタポタと毛先から水がこぼれ落ちハルくんが立つ地面を濡らす。
「お前…」
「……へ?」
ポツリと呟いたハルくんの言葉に、少し体が前へと傾く。
ぺたぺたとこちらに歩いてきたハルくんがフェンスの前にしゃがみこちらを見つめた。
まだ乾ききっていない体の上に水滴がキラキラと反射して、こぼれ落ちる。
水着を着ていると言ってもほぼ裸に近いそれに若干、視線が戸惑う。
「あ…!」
ジャージ返すの忘れてたと口にしようとした時。
「「くしゅっ…!」」
私とハルくんのくしゃみが重なり合った。