第7章 呪胎戴天
虎杖が着ていた制服を破いたと思えば
自身の右腕を大きく振り上げる宿儺。
伏黒が静止する前に、それは心臓部分を貫いた。
グチャグチャと、臓器が潰れる音がする。
宿儺の口元は弧を描いたまま吐血し地面が紅く染まっていく。数秒後、脈を破り肉を裂き、ドクドクと脈打つ虎杖の心臓を取り出した。
「小僧を人質にする。
俺は"コレ"無しでも生きていけるがな、小僧はそうもいくまい。俺と代わることは死を意味する。
───────更に 駄目押しだ」
「っ、」
宿儺は先程の特級から奪った指を飲み込む。
「さてと、晴れて自由の身だ。もう怯えていいぞ。───────殺す」
「‥‥あの時と‥立場が逆転したな‥‥」
虎杖の生死を決めたあの日。
今は自身が命を握られているこの状況に
伏黒は静かに呟いた。
"不平等な現実だけが平等に与えられる"
ふと、そんな事を思う。
「‥‥‥虎杖は戻ってくる。その結果あいつが死んでもな。そういう奴だ」
「買い被り過ぎだな、コイツは他の人間より多少頑丈で"鈍い"だけだ。
奴に自死する度胸はない」
吐血した血を拭いながら宿儺は断言した。
先刻も今際の際で怯えに怯え、ゴチャゴチャ御託を並べていたと。‥それは事実だ。虎杖は先刻まで自身の力を過大評価していた。
死時を選べるくらいには強い、と。
だが事実は違う。本気を出していない例の特級相手でさえ、攻撃1つ喰らわせることは出来なかった。
結果として残ったのが
今この現状なのだから