第7章 呪胎戴天
「〜〜〜!!」
「ほら、頑張れ頑張れ」
声にならない奇声をあげるも、呪霊が抵抗をなす術などどこにもない。姿形は同じなのに、虎杖の時とは立場が逆転している。
宿儺は虫を潰すように楽しそうで凶悪な笑みを浮かべ、グシャ、という効果音と共に呪霊の顔を踏み付た。
ピシィ!!!と踏みつけられた頭裏からコンクリートに亀裂が入り、バラバラと粉々に砕け落ちる。
「おっ」
落下しかけた直後、宿儺の足は捕まれ
身体を大きく揺らし振り投げられた
かに思えた。
「─────呪霊といえど、腕は惜しいか?」
「!!!!」
宿儺を放り投げた筈の腕はどこにも無く
自身の背後で胡座をかき悠々と一瞬のうちに切り取った腕を掲げる宿儺
その事実に、特級呪霊は嫌な脂汗をかく。
滑稽な姿に、そして弱者を甚振る強者の特権かよように宿儺の笑い声だけが地下に響いた。
「我々は共に"特級"という等級に分類されるそうだ。俺と‥お前がだぞ??」
「フーッフーッ」
たったの二本。
現在宿儺が自身の力を取り戻しているのはたったの指2本分だ。同じ等級に数えるのもおこがましい。それ程の力の差だった。
四肢は切断され、壁に圧をかけられ埋まっている現在の状況に呪霊は憤怒する。
こいつを殺す為には何をすべきか
拙い頭をフルに回転させ考える。
「!」
グググと力を込め壁から脱すれば
反転術式で自分の傷を癒やし
「ひっひひひひひひ」
ニヤリと笑い"方法はこれしかない"とばかりに瞬時に宿儺が横にした月瑠を掴み
彼女の頭上で自身の呪力の塊をちらつかせた。