第7章 呪胎戴天
突然現れた宿儺に、先程まで月瑠が相手をしていた呪霊たちはその凶悪さに怯えることしかできななくなっていた。逃げようにも体が動かないのだ。
「ん"ぁあァアぁあ!」
「‥なんだ。待てと言ったはずだが?」
怯えるだけの小物とは代わり、宿儺に軽くあしらわれた例の特級呪霊が現れる。このような危険なものを自身の領域内に留めたくないのが半分、自分をあんなにも適当に相手をした事に対する憤りが半分、といったところだろう。
「まぁいい、先約は片付いた。あのガキ共を殺しに行くぞ。付いてこい」
失ったはずの虎杖の指を反転術式でいとも簡単に治し、振り向き際に呪霊に対し合図を送る。
その他の呪霊など相手にする価値も無いとばかりに目もくれず。
ドクンドクンと、呪霊自身の本能が警笛を鳴らす
こいつは危険だ、早く殺せ、と。
「ッッガァァアァア!!」
「馬鹿が」
「ァ"!?!」
虎杖や伏黒を甚振ったときと同様に自身の呪力を宿儺にぶつける。寧ろ、今までで最も大きな出力だ。が、そんなものは効くはずもなく
片手を軽く出すだけで防がれてしまった。
特級呪霊はあり得ない光景に驚き戸惑う。
「散歩は嫌か。まぁ元来、呪霊は生まれた場に留まるモノだしな。良いよい。
ここで死ね」
抱いていた月瑠を壁際に横たわらせ
驚く呪霊を他所に言葉を続けた
その刹那
バゴッ!!!!!
死ねという宣告。呪霊が反応できるはずもない速度で頭を抑えられ床に叩きつけられた。