第7章 呪胎戴天
✦✦said##
「‥‥‥何処、ここ‥」
見渡せばそこには何もなく、ただただ虚無
月瑠は一人、真っ暗な空間の中に立っていた。
あの時呪いの気配を察知するも、虎杖と伏黒の言い争いに気を取られ一瞬の判断が遅れた。
その時にはすでに遅く、自分と釘﨑が呪いにより別の場所へ転移させられた事までは覚えている。
けれど、自身と同じように取り込まれた釘﨑の姿はどこにも無く、ただただ暗い闇だけが広がっていた。
「‥‥‥‥暗い‥」
‥暗闇は嫌いだ。
冷たく、恐ろしく、何よりも寂しい。
人間としてなのか、はたま月瑠自身としてなのか、本能が拒絶していた。
闇が好きな生物など限られているだろうが
少なくとも月瑠には該当しなかった。
虎杖や釘﨑、伏黒は大丈夫なのだろうか。
不安だけが募っていく。
「───────!!」
背後に感じた呪いの気配
「キャハハ ァハヒァハハ」
暗い空間に何点も薄明るく表示され、無数に出現する呪霊。
人の心配だけではない
現状だけを客観的に見れば月瑠自身も危険なのだ。
「‥‥っふぅ‥」
落ち着けと心の中で言い聞かせ、気持ちを鎮める。
この程度の呪いなら、月瑠の呪力ならば如何とでもなる。
術式は、使わない。
‥問題があるとすれば、敵の数だ。
自分と違い、この場は虎杖たちにとっての命の危険性が大き過ぎる。
手遅れになる前に助けなければいけない。
それだけを心に留め、虎杖に見せた時よりもさらに強く掌に呪力を込めた。