第7章 呪胎戴天
「───」
4人の目に入り込んだのは
恐らく、いや確実に呪霊によって惨たらしく殺害された三人の人間の姿。
内二人は身体をまるで肉団子のように丸められ、つぶされ、ヒトとしての形すら保っていない。
もう一人は下半身を失い、ナカからは臓物が溢れ出ていた。
「惨い…」
「3人、で良いんだよな」
「‥‥」
殺されているひとを、月瑠は静かに見つめるしか無かった。何も感じない訳ではない。呪霊に殺されるのだから、きっと惨く苦しい最後だっただろう。
しかし、目の前に突き付けられる"死"に
ぽっかりと穴の空いたような感情が彼女の中にあるだけだった。
虎杖はまだヒトとしての形を保っている一人の死体を触る。
「‥‥この遺体、持って帰る」
「え?」
「あの人の子供だ。顔はそんなにやられてない」
服に刻まれた名札には、"岡崎正"の文字。
先刻、息子の身を案じ涙に伏せていたあの母親の子供だと理解できた。
「ちょ、でも‥っ」
「遺体も無しに死にましたじゃ納得できねぇだろ」
「‥‥駄目だ。その遺体は置いていけ」
「っなんでだよ伏黒、あとで戻る余裕なんて」
「"後にしろ"じゃねえ。"置いてけ"っつたんだ。ただでさえ助ける気のない人間を、死体になってまで救う気は俺にはない」
「なっ‥‥!!」