第7章 呪胎戴天
「─────あの、あの!!
…正は、息子は大丈夫なんでしょうか…っ!?」
高専関係者を振り切り
雨に濡れるのも構わず息子の安否を訴える女性。
どうやら面会に来ていた保護者のようで、蒼白とした顔で涙を流す。
施設内に毒物が撒かれた可能性があり、これ以上のことは申し上げられないと説明され絶望していた。
一般の人間に呪術師の仕事は教える事ができないし、そも呪霊と対峙したならば既に死んでいる可能性のほうが高いのだ。
「……伏黒 釘﨑 月瑠。…助けるぞ」
「………」
「当然」
「‥うん」
息子を心配する母親の顔を見て、虎杖は決意を固めた。月瑠たちも、当然人がまだ取り残されているのならば助けるつもりだった。
ただ一人、伏黒恵を除けば。
「"帳"をおろします。お気をつけて。
───────闇より出でて闇より黒く
その穢れを禊払え」
「おぉ夜になっていく…!」
「…これ、外からの視界を遮る結界ね?」
「ああ。今回は住宅地が近いからな」
『玉犬』
呪いが近づけばこいつが教えてくれると
伏黒は自身の式神である玉犬の白をだす。
見た目はもふもふの、本当に犬のようで
虎杖はよすよすと撫で回した。
ギィィィと軋む音をたて、4人は建物内へ入る