第7章 呪胎戴天
ざぁざぁと、雨が降る。
暗い空と冷たく降りつける雨は
人々の気持ちも、呪術師として任務に訪れた月瑠たち高専1年生4人の気分も沈めた。
「我々の"窓"が呪胎を確認したのが3時間程前
避難誘導、9割の時点で
現場の判断により施設を閉鎖。
"受刑在院者第二宿舎"5名が
現在もそこに取り残させれており
呪胎が変貌を遂げるタイプの場合
特級に相当する呪霊に成ると予想されます。」
「特級‥‥‥」
淡々と現場の状況を説明する高専補助監督
伊地知の"特級"という言葉に、伏黒や釘﨑の表情が固くなる。
「なぁ、特級ってそんなにやばいの?」
「あぁ」
現代で示される危険度について知らない虎杖や月瑠は伊地知に説明を受ける。
"特級"───────現在の呪術界で分類される等級で最も高く、最も危険な案件だ。
その上、"窓"…呪霊が見える非呪術師の高専関係者が対象を発見してから時間が経っている。1秒でも早く急を要する事態だ。
「‥本来なら、呪霊と同等級の術師が任務に当たるんだ。今日なら五条先生とかな」
「で、その五条先生は?」
「数日前から出張に行ったよ。行く前にお土産は期待するなって言ってたけど」
「まじかよ」
そもそも五条は高専で居ていいような人材ではないし、この業界は常に人手不足だ。手に余る任務を請け負うことも多々ある。
「‥ただ、今回は緊急事態で異常事態です。
"絶対に戦わない事"。特級と遭遇した時の選択肢は
逃げるか、死ぬか、です」
「「……」」
"死"という言葉が、重くのしかかった。