第6章 /休日/徊詮/
「……五条…?」
沈黙が流れ彼の顔色を伺う。目が隠されていて正確な表情が汲み取れる訳ではないが、何を考えているのだろう。
怒らせてしまったのかと不安になった。
「──────悟」
「え?」
「呼び方。悠仁だって下の名前で呼び捨てにしてるでしょ。僕の方が月瑠に早く会ったのに何か納得できない」
あまりにも唐突で、且つ子供かと言いたくなる内容だった。五条は名前の呼び方にそこまでこだわりがあった訳ではない。が、月瑠が虎杖や釘﨑に対し呼んでいた事が何処か釈然としない。
「今から苗字で呼ぶの禁止ね」
「えぇ…なにそれ」
「駄目なの?」
「だめ、じゃ、ない…けど…」
「じゃあ良いじゃん」
当然、たかだか呼び方でどうこうなるなんて月瑠は考えていない。五条は引き下がらない彼女を見て、今通せる確率の高い要求をした。
けれど
けれど
虎杖悠仁や釘﨑野薔薇には簡単にできた事が月瑠は少し照れくさかった。
呼び方など個体を示す情報の1つ。
虎杖だって、自分だけが呼び捨ては嫌だという理由を言っていた。