第6章 /休日/徊詮/
「─────月瑠」
「!」
少しだけ間が開いて、名前を呼ばれる。何を言われるのかと、体がびくりと跳ねて強張る。
「……馬鹿なの?」
「へ…?」
言われたのは、励ましでも慰みでもなく。
予想外過ぎて月瑠は思わず変な声を出した。何を言うのかとおもえば、割と重い空気の中の第一声が"馬鹿"は誰でも困惑する。
「つまり、月瑠の術式にはそれなりのリスクがあって、そのリスクは他の人間も巻きこんでしまう可能性があるから
術式への呪力コントロールがわからない今はまだ使いたくない、でしょ?」
「まぁ…」
「僕って正論嫌いなんだよね。
力に理由や責任を乗っけんのはさ、それこそ弱者がやる事だ。
月瑠の考えは分かった。
…でも、その前に僕を頼るくらいしてみろよ」
「な…っ」
「言っとくけど、月瑠の術式で僕が如何こうなるとか無いから」