第6章 /休日/徊詮/
五条の台詞に、月瑠は言葉が詰まる。
彼の全てを見透かすようなプレッシャーに背中がぞくりとした。
「…」
六眼を使わずとも、五条には彼女が術式を使えるとわかっていた。
反転術式、果ては譲渡までできる人間が"使えない"のはありえない。
"使わない"ならべつだが。
五条の考えは概ね当たっている
「…半分は、本当だよ。
私の術式…輪廻操術って言ったでしょ?生きとし生けるものには廻りの中で堕ちる六つの道がある。私はその内の3つ…天、人間、修羅までは、使える…けど」
「けど?」
「…術式は、輪廻…どれも魂の有り様に関わる。理を無理やり変えてしまう。力には、相応の対価……が、あって‥今の私の呪力コントロールでどうこうできないの」
「……話がいま1つ見えないな。月瑠は、その対価が自分に何らかの被害を齎すのが怖いの?」
実際、五条悟も自身の術式による反動は反転術式で補っている。彼の場合は自分にしか反転術式をあつかえないのだが、他人にまで使える彼女がなぜ。
わざと嫌な言い方をするのは、彼女の本心を知りたいから。
「違う…!私がどうなろうが、どうでもいいの!!けど、私の術式は他人に干渉してしまう。私の実力じゃ、抑えられない。反転術式で対応できない…どうしても、迷惑かけてしまう」
「……ごめんなさい…」
消えそうに呟いた彼女は、怯えていた。