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【呪術廻戦】/無題/

第1章 開幕



少女は間違いなく『呪い』に憑かれている
しかしながら、その『呪い』が何なのか、分からない
これは五条にとってあり得ないものだ
彼が生まれつき持つ六眼は、全てを見通す
と言うことは勿論、術式を見てどんな能力か分かる。
にもかかわらず目に映るものは朧げだ

そしてもう一つ

彼女から、確かに人の気は感じる。感じるのだが、彼女を構成するもの自体が半分『呪い』そのものだということ

「人と呪いのハーフ‥?その上別の何かに憑かれている‥。ぐちゃぐちゃだな。そんなものが存在するのか?」
「ん‥‥」
「!」
五条が思考を巡らせている内、抱きかかえている少女の眉が微かに動きゆっくりと瞼が開けられる。


目を開けた少女の、最奥まで見透かされるような美しい瞳が五条を見つめた
上半分が青 下半分が赤
グラデーションにかかったような瞳
瞳孔には華のような紋様が刻まれており徐々に薄くなっていく

「貴方、は‥だれ‥‥?
‥‥‥!」
長い間封印されていたからか 
カラカラに乾いた喉から恐る恐る声を出すように、ゆっくりとした雰囲気で少女は問いかける
と同時に、自身の体の状態にも気付き少し顔を伏せる
ようやく目覚めれば、自分の瞳に映るのは黒い布で目を隠した白髪の男性
自身といえば初対面の相手に肌を露わにして抱きかかえられている

現状理解が追いついていないにしても、もっと恥ずかしさで叫んでも良いのだが、五条には、今の彼女が酷く怯えている気がした
  


「‥‥やぁ、初めまして、お嬢さん」



少しだけ抱く力を優しく、且つ強くして
いつも通りの飄々とした笑顔を向けた
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