第6章 /休日/徊詮/
そこから先はトントン拍子で"観光"を楽しんでいった。
ゲームセンターへ行きお菓子のUFOキャッチャーをしてみたり、カプセルトイ、いわゆるガチャポン専門店に行ってみたり。
当初五条が言っていたように、本当に街なかぶらりをしていた。
「五条、この小さい容器に入ったおもちゃが欲しいの?…ってかなにこれ、キノコ…?」
「このキーホルダー、ユーモアがあるでしょ」
「500円出すなら普通にお店でキノコ買ったほうが良くない?」
「月瑠、それ言ったら駄目なやつだよ」
何がどうしてこのガチャポンが気に入ったのか月瑠には理解できない。
五条が狙っていたのはシークレット表記されたレア物。ちなみに、結局出たのは毒キノコばかりだった。
五条は悔しがっていたが、月瑠は肩を震わせて笑った。
男女2人…しかも年齢的には成人している者が何をしているのかと
端から見れば思われるだろうが、この瞬間が月瑠にとってはとても楽しかった。
「さて、月瑠、次行くよ」
次に2人が訪れたのは、先程とは打って変わって随分古びた外観の店。
看板には"真空管専門店"と書かれている。五条が選ぶにしては随分とマニアックな、古いラジオやオーディオに使う電気部品店だった。
店の中に入れば、中古のオーディオが置かれている場に行き五条は紙ジャケットのアナログレコードを物色し始める。
「五条ってそういう音楽聞くんだ」
「いや、僕じゃないよ。
この近くにほとんど廃テナントになってるビルがあるんだけど、ネットのホラーサイトで変な噂立っちゃったらしくてね。元々歴史あるレコードショップが入ってたお陰で呪いのエピソードに信憑性が出た。今からそれを刺激しに行く。」
「…仕事の事、忘れてなかったんだ」
「僕をなんだと思ってるの」