第6章 /休日/徊詮/
取り敢えず
先ずは何よりも連絡手段の確立だと
月瑠が連れて来られたのは近くの携帯ショップ。
安く古い機種から最新のものまで幅広く取り揃えられている。手のひらサイズの薄く小さい液晶画面に、人のあらゆる情報が入っているのだ。
恐ろしくもあり、凄いことでもある。
「お客様、ご希望の品は御座いますか?」
定員に聞かれるも、希望など全くもって分からない
「えっと…」
「僕と同じやつにしよ。慣れてない月瑠にもその方が説明しやすい」
困っている月瑠に助け舟を出すように
そう言うと五条は自分と同じ機種を指定し、短時間の内に本体を一括購入していく。
封印されていた月瑠には正式な身元を証明するものがまだ無い。となれば、分割支払いとなる契約もできない。その内高専の方から色々と不便が無いように揃えられるとは思うが、今はそこまで日にちが経っていないため一括支払いは仕方がなかったのだ。
「はい、次からの連絡にはこれ使ってね。暫くは慣れないと思うけど、分からなければ教えれるから」
「!…ありがとう」
渡されたのは自分の手のひらより少し大きい、薄い液晶画面。
ホーム画面へ行き、赤いマークが示されたLINEアイコンを押せば
五條悟からのスタンプが送られていた。
見る人が見れば意外だと感じるネコのスタンプ。普段の五条はそんなものは使用しないのだが…そのスタンプの見た目が可愛らしくて、月瑠はクスリと笑う。
自分も試しに元々入っているスタンプを送ってみれば、すぐに既読が付いてまた返信が帰ってきた。
「スマホってすごいね」
「でしょ?この機種、カメラの性能も良いからまた試してみると良いよ」
「うん…!
…でも、良いの…?その、私お金とか…」
「そんなの気にするなよ。てか気にされる方が僕は嫌だね」
「!!…そう、だね?…なの?」
「何その言い方(笑)」
思っていたよりもドライな反応をされて戸惑う。五条からすれば本心だし、月瑠だって立場が変われば同じ事を言うだろう。が、やはりされた側は気になってしまう。そこは、いつか返したいと思った。
「とにかく、僕は今日月瑠と楽しみたいの」
もちろん仕事もやるけどね、と本来の目的を二の次にしたような発言をする。けれど"楽しみたい"という点は月瑠も同じだった。