第6章 /休日/徊詮/
「…五条、今日どこ行くの?」
高専からだいぶ移動し月瑠たちの現在地は秋葉原の駅前。
なぜこんな所まで来たのか、当然月瑠は気になる。
人酔いは昨日でだいぶ慣れたようで、気分の悪さは幾分マシになっていた。
「んー、観光かな」
「観光…?」
「昨日、楽しみにしてたでしょ?」
「!」
昨日月瑠が少し期待した"東京観光"を、五条は覚えていたのか。
しかしながら六本木と言いながら結局廃ビルで呪霊の相手をさせてくるような人間なため期待はできない。どうしても疑惑の目を五条に向けてしまう。
「………」
「もしかして信じてない?まぁ、もちろんそれだけじゃないよ。僕くらいになると忙しすぎて、仕事しながらじゃないと街なかぶらりもできない。今日はそれプラス月瑠の観光と買い物。」
「仕事…?」
「そ。ダンジョン探し。言い方を変えると、昨日月瑠たちが行ったようなイイ感じに経験が詰める呪いスポット探し、及び下見」
五条悟は普段は掴みどころがなく飄々としているが、実際は『最強』と称される程の呪術師だ。本来、高専で教師などをやっていていい人材じゃない。それでも今日は自身が想像していた以上に今の社会を見ようとする彼女に楽しんでもらいたいという気持ちが
五条の中には確かにあった。
「じゃあ、買い物は?」
「月瑠に持たせるスマホを買いに。今のままじゃ連絡もろくに取れないでしょ」
スマホは現代での必需品の1つとも言える。分からないことがあれば1分ほどで検索でき、遥か遠くにいる相手とも繋がれる。月瑠が上手く操作できるかは別として、これから先の生活や任務においても必ず必要になるのだ。
質問は後でと言い、さっそく1つめの目的地へと歩き出す