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【呪術廻戦】/無題/

第5章 鉄骨娘



呪霊も釘﨑も、何が起こったのか一瞬理解できなかった。
しかし、その一瞬が命取りとなる。壁を拳で貫くという人間離れした技を出した虎杖悠仁が間髪入れずに壁をぶち壊し現れた。
呪霊は釘﨑にした事と同様に少年の頭を前に突き出し脅そうとする。

が、そうなる前に
虎杖は持っていた呪具で腕を切り落とし、手から離れた子供を抱きとめる。
子供が殺されるリスクがあったにも関わらず、躊躇なく攻撃をしたのだ。
呪霊自身、まさかの行動に驚いていた。

「月瑠、この子頼む」
「分かった…。っ!まって!呪霊が逃げる!」
「「!!」」
即座に子供を月瑠に預け、構えようとするも
敵わないと悟った呪霊は壁をすり抜け逃げようとする。

「っ逃がすか!!虎杖!その呪霊の腕よこせ!!」

「わ、藁人形…!?」
「陰湿…!」
人質さえ取られていなければこっちのものだ。
虎杖に先程切り落とした呪霊の腕を要求し、野薔薇は制服の裏に隠し持っていた藁人形を腕の上へ叩きつける。
急に登場した藁人形に、子供も虎杖も引いてしまうが
そんな事は関係ない。

「─────芻霊呪法。"共鳴り"」
釘﨑は藁人形に呪力を流した釘を打ち付け、瞬間呪霊の心臓はどくりと音をたて体中から刃が突き出て絶命した。

これが釘﨑野薔薇の呪法。
芻霊…つまり依代となる草人形に金槌を使って五寸釘を飛ばし、刺さった釘から呪力を流し込む。  
その術式の1つである"共鳴り"は、対象の欠損した一部に人形を重ね、同時に自分の呪力を流し込む事により本体へダメージを与える事ができるのだ。
遠距離にも対応でき、単純ながら汎用性の高い呪法である。
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