第5章 鉄骨娘
✦✦said#釘
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(クソ…ッッ!どうしてこうなったのよ…!?)
月瑠達と分かれ1人呪霊の探索をしている際
ある1部屋でマネキンに隠れた呪いを見つけて、釘﨑はいとも簡単に祓った。
そこまでの流れは良かったのだ。自身の呪力が篭った釘を相手に打ち付け祓う。
いつも通りにやっていた筈だった。
キマったと心の中で思い越に浸ったは良いものの、ここで予想外のことが起こる。
ガタ…ッ 「!」
マネキン裏のダンボールの隙間から現れる小学生くらいの少年。
恐らく、遊びで忍込み呪いに遭遇したのだろう。
「ほら、もう大丈夫。おいで」
「……っ」
子供の側へ行き呼びかけるも、なかなか首を縦に振らない。子供は美人に懐かないと割とポジティブに考え、月瑠たちを呼ぶ為その場を離れようとした時だった。
「まって…っ!おいていかないで」
「!?」
少年の後ろの壁から現れた
不敵な笑みを浮かべる呪霊。
釘﨑は即座に先程と同様に釘を打ち付け祓おうとするが、直前で一時停止をしてしまう。
現れた呪霊は少年の頭を掴みあげ首筋に鋭い爪をたてたのだ。
首筋からは血が滴り、あと数ミリ爪を食い込ませれば少年の首の脈が傷付き出血死する可能性まである。
(なっ…人質…!?この呪い、知性がある!!)
「ヒッヒヒヒ…ヒ、ヒ」
ニタニタとした気色の悪い笑みのまま、釘﨑の前に突き出すように呪霊は少年を人質にとっていた。