第5章 鉄骨娘
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3人が建物内に入っていき、五条と伏黒は外で待つこととなった。
「…やっぱり俺も行きますよ」
「無理しなくて良いの。病み上がりなんだから」
「でも虎杖と月瑠は監視対象ですよね」
監視対象だからと事務的な理由を伏黒は述べるが、本心では心配をしている。この程度の呪力の呪いであれば伏黒はこれまで数多く祓ってきた。
しかし、実地試験ではある以上
五条はそれを許諾しない。
加えて
今回の実地試験で試されるのは虎杖や月瑠ではないのだ。
「まあね。
…でも今回試されてるのは野薔薇の方だよ」
虎杖悠仁の場合
異形とはいえ生き物の形をし、自身を殺そうとするものを躊躇なく殺しに行く。‥昔から呪いが見えていたわけでもなく、つい最近まで普通の高校生をしていたにも関わらずだ。
この点においては月瑠も同様
反転術式、自身の体質などの様々な要因は重なるが、彼女は自身の死に対しての躊躇が欠けているのだ。それに関しては問題が大いにある。しかし、呪いに対する時のみは両者への心配は必要無かった。
「才能があっても嫌悪と恐怖に打ち勝てず、挫折していった呪術師を恵もみたことあるでしょ」
「‥‥‥」
呪術師は良くも悪くもイカれている。
そうでなければやっていけない事を、五条も伏黒も理解していた。
だからこそ、今回は釘﨑野薔薇の"イカレ具合"を五条は確かめたいのだ。