第5章 鉄骨娘
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「……いますね、呪い」
「「嘘つきーーー!!!!」」
月瑠達が五条に連れて来られたのは
いかにもな雰囲気を漂わせている廃ビル。そこは六本木ですらなく、人通りのない近くに大きな霊園がある場に建てられていた。
伏黒は淡々としているが、釘﨑や虎杖は弄ばれた事に激怒し絶望している。
「……」
それは月瑠も例外ではなく。少しは楽しみにしていたぶん無言でビルを眺めるしかなかった。呪力の強さは大したことはないが、確かに呪いの存在は感じる。
「近くにでかい霊園があってさ。廃ビルとのダブルパンチで呪いが発生したってわけ」
「やっぱ墓とかって出やすいの?」
「墓地そのものじゃなくて、墓地=怖いって思う人間の心の問題なんだよ」
虎杖の質問に対し分かりやすく答える伏黒。
実際その通りで、呪いは人間の恐怖、辛酸、後悔、恥辱など、流れ出た様々な負の感情から成り立つのが基本だ。
「ちょっとまって。こいつそんな事も知らないの?」
「あー…実は、虎杖は色々あって特級呪物である両面宿儺を飲み込んで…」
「飲み込んだぁ!?特級呪物を!?」
虎杖が呪物を飲み込んだ事を知った釘﨑は汚物にでも触れるかのように後ずさり最大限に無理を連呼しまくる。
キモすぎと言われ一瞬カチンとくる虎杖だが、それに対しては伏黒も同感だった。
ついでに月瑠の事も説明し、釘﨑さらに苦い顔をした。一人は呪物を飲み込み、もう一人は半分呪いなのだから
初対面の釘﨑からすれば引くか驚くしかない。
ただ、月瑠への違和感はあった。日に日に安定しているが、それでも少しは不思議に思う程度ではあったのだ。
「うぇぇ…あんた達本当どうなってんの…」
これが、至極真っ当な反応なのだろう。