第5章 鉄骨娘
「いやーごめんね引き止めて。その格好って制服?コスプレ?良いねえ」
「…」
まじまじと見られて、正直良い気はしない。寧ろ気持ち悪さを感じた。
月瑠は今、今朝支給された新しい制服に身を包んでいる。
真っ白なインナーの上から学ランデザインの黒い上着を羽織り、襟元には白と青のグラデーションが施された蓮の花の刺繍。
50cm程の袖丈へ手を通せば着物のような見た目となる。
靴はローファー。腰には帯状のベルトを巻き、ちょうど膝上くらいのスカートに黒いタイツを履けば、スラリとした足を際立たせていた。
場所によってはコスプレに見えなくもないが、制服は希望があれば変更可能な為五条が虎杖のぶんも合わせて申請していたのだ。
その事を、二人は知る由もないが。
「自分こういう者ですけど、お姉さんモデルの仕事とか興味ない?」
「…いえ。ごめんなさい、今人を呼びに行く最中で…」
モデルが何かも知らないしと思いながら、怪訝そうな顔で名刺諸々を断る。けれど、向こうも仕事。話だけでもとなかなかに引き下がってくれない。
気分も変えたかったから五条を呼びに行こうと考えた月瑠の思惑は見事に粉砕していた。
(しつこい…、)
虎杖達に助けを求めようにも、先程電車から降りてきた人で見えなくなっている。
どう断ろうかと悩んでいた時
「おまたせ〜」
「きゃ…っ」
後から肩を抱かれて思わず声が出てしまった。