第4章 初志貫徹
建物を出れば、言われた通り月瑠の面談が終わるのを待っている虎杖が居た。
「あっ、終わった?大丈夫だったか月瑠」
「え、うん」
「いや何でそんなケロッとしてんの…!?俺変な河童みたいな、えっと、呪骸?に殴られまくったんだぞ…いや大丈夫な方が全然良いんだけどな!?」
「あはは、流石の学長も女の子相手にそんな事するわけ無いじゃん。失礼だよ悠仁」
「五条がそれ言う??」
そわそわと待っていた虎杖と合流し、校内へと入る3人。
月瑠の事を心配していたのは伝わったが、一人でツッコミまでこなす虎杖に苦笑いする。
それとは別に、お前が言うなと叫びたくなるほどの特大ブーメランを放つ五条。夜餓の苦労が目に浮かぶようだった。
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「ここが悠仁、奥の角が月瑠の部屋ね。とりあえず部屋は好きに使っていいよ。二、三年は今出払ってるけど、人数少ないしすぐ会えると思うよ」
「おー!広い広い!」
自身に与えられた部屋の想像以上の広さにテンションが上がる虎杖。
早速自分が持ってきたポスターを部屋の壁にセットしていく。
「……ねえ虎杖」
「?なんだ月瑠…ってうわ!?」
名前を呼ばれたから振り返れば、かなりの至近距離に月瑠が近づく。女性への耐性など殆ど無い虎杖は思わず頬を染めた。
「な、なに…?」
「…ううん、宿儺の器って、どんなのかなって思っただけ。…けど、何でもない」
虎杖に近付いて、月瑠はじっと見つめる。
自分が違和感を感じる"両面宿儺"という存在。
虎杖に近付けば、そのなかに感じる呪力は確かにあるのだが
それでも決定打になるような感覚は全く無かった。