第4章 初志貫徹
月瑠の行動が、虎杖はもちろん五条にとっても気がかりだった。
そういえば、あの時
虎杖が両面宿儺を飲み込み受肉した際に月瑠は待機指示を出していたのにも関わらずあの場に現れた。
初めて会った時は、自分が祓われる可能性があるのに大人しく待っていた彼女がだ。
宿儺自身も、彼女を見て一瞬時が止まったように停止した。
だからなんだと言えばそこまで大したことは無いし、呪いの王とも言われる両面宿儺の事が気になっているだけなのかもしれない。
あの場で強い呪力を感じれば、確かに振り向きもする、と。
「げ…虎杖の部屋、隣かよ」
五条が少し感じた疑問は、伏黒の憂鬱そうな一言で現実へと引き戻される。
「他に空室なんていくらでもあったでしょ」
「だって賑やかな方が良いでしょ?」
「授業と任務で充分です」
ありがた迷惑だと伏黒はピシャリと言い放つ。
黒いスウェットを着て、凄くラフな格好だ。はぁ、と溜息をつき本当に嫌そうな感情が表に出まくっている。
「伏黒の部屋、虎杖の隣なんだ。私とも近いね」
「今度遊びに行くな!」
「いや来るなよ…」
「まっ!いいっしょ!それより明日はお出かけだよ!」
パンと手を叩き明るい口調でお出かけ宣言をする五条。伏黒は精一杯によくないと思ったが、諦めて声には出さなかった。
「出かけんの?」
「お出かけ?」
「その通り!明日は4人目の一年生を迎えに行きます」