第4章 初志貫徹
晴れた空に、時折肌を触る風が心地良い。
「おまたせ。悠仁の面談終わったから、行こっか」
「!」
「月瑠…おまえ、気を付けろよ…本当に…色々と…」
「えっ…なにそれ怖い…何があったの虎杖…」
ぼーっと静かに考え事をしながら風景を眺めていると、後ろから五条となんだか変に疲れている虎杖に声をかけられる。
もう10分経ったのか、と思ったが考え事をして時間の経過を忘れていた為
待たされていた時間は特に苦ではなかった。
先程まで月瑠が居た場に今度は虎杖を待たせ、学長が待つ所へと歩く。
「五条」
「なに?」
「……昨日、ありがとう。
その…お陰で、ちゃんと寝れた」
「ふ、別に良いよ。…寝顔も見れたしね!」
「〜〜っ!!」
まだ言っていなかったと
少し照れ気味に、月瑠はお礼を言った。
それに対しての五条のふざけた態度に羞恥と怒りで感謝の気持ちが薄れてしまう。
安心して寝る事ができたのも事実だが
寝顔を見られたのもまた事実。
変な寝言とか、寝相とか、月瑠だって多少は気にするのだ。
実際はそんなものは一切なく、静かに寝ていただけなのだが。
これ以上は墓穴を掘るだけだと何も言わなかった。
「それより、学長との面談。悠仁なんてボコボコに殴られたから頑張ってね」
「えぇ……」
ただの面談でなぜ…と思ったが、虎杖のあの疲れ様。
強ち嘘ではないと確信してしまった。