第3章 開/終/
「はぁ、ったく…陰険なじじい共め」
ああはなりたくないと、五条悟は常々思う。保身、世襲、高慢。今の呪術世界は上層部の腐った奴らばかりで成り立っている。
そんなクソみたいな場をリセットするのが五条にとっての1つの夢だ。
憤った気分を正し、伏黒と月瑠が居るホテルへ足を進める。
時刻は既に深夜近い。二人とも既に寝ているだろう。
月瑠も要監視だと報告した手前、それでも一応は確認しておこうと考えた。
その後は念の為すぐに虎杖の側へ行かなければいけないのだが。
既にチェックインを済ませている事をフロントに伝え、彼女が居るであろう部屋の扉を開けた。
そこには、部屋のカーテンを開け、開けた窓から夜の情景を静かに眺める白髪の少女。
「あ…おかえり、五条」
「ただいま…って、別にここは僕の部屋でも何でもないし。ってかまだ起きてたんだ。もう深夜だよ?子供の夜ふかしは関心しないなあ」
「…子供じゃないし。私、確実に貴方の何倍も年上だと思う。それに夜中急に部屋に入ってくる人のほうが関心しない。
…見慣れないものばかりで落ち着かないし、寝れないの」
「何?子守歌でもご所望?」
月瑠の最もな正論。彼女は見た目こそ若々しいが、封印されていた期間を合わせると確実に五条達よりも年上となる。
また、彼女にとっては見るもの全てが未知。落ち着かないのも無理はない。
それでも、悪態をつける程度には会話ができるようになっていた。
「…さっき、運んでいった男の子の方に着いてなくて良いの?それとも、上からの了承が得られなくてここに来た?」
「変なとこでカンが働くね、月瑠。
心配しなくても、上は了承した。…要監視のもと、ってことでね。
彼─────虎杖悠仁も同様。今はあっちの方が気掛かりだからすぐに戻る。けど、その前に少し話をしようか」