第3章 開/終/
……しかし、月瑠の処遇についてはなかなかに決まらない。
上層部が彼女の生存に納得しないのだ。
半分が呪い。当人も憑かれている。呪力を考えれば間違いなく特級。
そんな得体の知れないものに対し、臆病になるのも理解できなくもない。
だが五条はそれとは別のものを感じていた。
「先程も言いましたが、少女の処遇についても虎杖と同様。要監視のもと高専で預かります」
『ならん。ただでさえ危険な"モノ"だ。早急対処すべきだ』
『乙骨のように上手くいくとは限らぬ』
『自分は殺せないなどと宣っていたらしいが、五条悟ならば消せるだろう』
『その通り』『その通りだ』
「…………」
『それか───────不死というのならば、天元様の新たな"星奬体"に「‥ふざけるなよ」』
"星奬体"という発言を聞き、五条の発するプレッシャーが跳ね上がる。
五条悟にとっての記憶─────数年前の青い春の出来事だ。
先程までと打って変わって、周りが一斉に静かになった。
「………あれだけ厳重な封印。且つあれ程までの呪力だ。今まで発見もされず特級16体に数えられていないのはどう考えても異常だ。
……御三家‥いや、貴方方も関わっているのでは?」
月瑠の場合
強力すぎて新たに封印が出来ず、かといって並の術師では祓うことも出来ない。周りに知られるわけにもいかない。だから『たかが調査』に五条悟が使われた。
彼ならば月瑠を即座に殺せるだろう、と。
そう考えれば辻褄が合うのだ。
『なっ……我らを愚弄するか!五条悟!!そんな危険なもの、何人が呪い殺される結果になるか分からんのだぞ!!』
「そうなれば、僕自らが責任を持って彼女を殺しますよ。それに、彼女は恐らく反転術式が使える。我々にとっても理があります。」
『……
封印されていた特級の処分は保留とする。‥その言葉、ゆめゆめ忘れるな』
「…知らぬ間に彼女らに"もしものこと"があれば、私があちら側につくことも忘れずに」
そう言うと五条は通信を切断した。