第2章 開/序
「──────」
3人の前に現れたのは、息を切らした白髪の少女。
月明かりに照らされ、風になびく髪はキラキラと美しい。
月瑠は五条の静止を聞かずここまで来た。
行かなければいけない、と、
自分の魂が訴えかけてきたように思えたのだ。
「──『本当に‥厄介なものだな。呪術師は』」
「────え…」
月瑠が小さく口を開き何かを言おうとする直前
宿儺は彼女を見つめてそう言った。
瞬間、五条が虎杖に指定した"10秒"が経過し体の紋様が消える。
月瑠は自分が何を口にしようとしたのか分からない。無意識に、何かを言おうとした。それだけだった。
「おっ、大丈夫だった?」
「…驚いたな。本当に制御できてるよ」
校門で待たせていた筈の月瑠がなぜ此処に、と、五条の視点は彼女を見ていたが、虎杖が宿儺を制御し戻ってきたことで口角を上げて彼に近付く。
トンッ、と虎杖の額に指を当てれば、意識は一気に遠退き気を失った。これで目が覚めたとき宿儺に体を奪われていなければ、虎杖には器の可能性があると五条は確信したのだ。
「さて……─────恵、ストップ」
虎杖を抱えた五条はすぐ後ろで恵が術式を展開しようとしていた事に気付く。
対象はもちろん、今自分たちの目の前にいる白髪の少女。
「なにやってるんですか五条先生!!こいつ、呪いですよ!!!!それもこれ…少なくとも1級、いや特級の…ッッ」
ハァハァと息を切らし、体力も残り少ない体で精一杯の警戒心を伏黒は発していた。少しでも月瑠が動けば、すぐにでも式神を出せるように。