第2章 開/序
殺伐とする雰囲気。伏黒の敵対する目を、月瑠はただ黙って見つめている。まあ、当然の行動だと理解しているからだ。
一触即発のような空気の中
「大丈夫大丈夫。その子、僕が連れてきたの」
「は‥‥?」
「僕が先日任された任務あるでしょ?そこで封印されてた子。恵も分かってると思うけど、半分が呪いでできてる上、本人も憑かれてるびっくりガール
明日から呪術高専の新しい生徒にする」
「は‥‥!?」
「え‥!?」
まさかの発言に、伏黒は唖然とする。というか、月瑠自身もまさか五条が自分を生徒にしようとしているなんて考えておらず、伏黒とハモるように驚いた。
「‥‥私情ですか?」
「そ。私情」
「……はあ‥‥‥上に何言われても知りませんからね‥」
長い溜め息をつき、伏黒は諦めたように目を伏せた。五条悟の"こういう事"にはもう慣れている。
いや慣れるしかなかった。
一方月瑠は何故そうなったとばかりに五条へ救いの目を向けるが、当の本人は「え?言ってなかった?」と、なんのことやらといった感じで。
「…で、この宿儺の器かもしれない子だけど。どうする?」
「…仮に器だとしても、呪術規定にのっとれば虎杖は間違いなく処刑対象です。
…けど、死なせたくありません」
伏黒はまっすぐそう言った。その発言に迷いはなく、心を決めている。
「私情?」
「私情です。何とかしてください」
時間がループしているような会話。
けれど五条は満足そうに、任せなさいと豪語した。