第8章 雨後※
「ん……」
頭が痛い。硬かった瞼を少しずつ開けば、ぼやけながらも確かに見えてくる知らない天井。
遠く懐かしい夢を見ていたような気がした。
自分は眠っていたのか、と
ベッドの中に居る状況から月瑠は現状を整理していく。
たしか自分は、虎杖達と任務にでて、呪霊と対峙していて。
…そして、背後に現れた宿儺によって意識を飛ばされた。
『お前が術式を使う必要はない』
確かに、そう言われた。
なぜ、そんな事を。あの言葉は、自分の術式を理解されているということに他ならない。
不可解すぎる言葉に頭を悩ませる。しかしそんな事をしても結果が出るわけもなく。取り敢えず、この見知らぬ部屋からでようと月瑠は重い体を動かした。
────
部屋を出れば、話し声がする。
『夢があるんだ』
『夢…ですか?』
何となく入り辛く、扉の前で聞き耳を立てれば
どうやら声の主は五条と伊地知のようで。
ただ、二人の声色は明るいものとは到底違う、重く暗いものだと直ぐに察してしまう。
『───悠仁もその一人だった』
「‥‥?」
話されていく言葉に、月瑠は嫌な予感がした。
もしかしたら
いや
もしかしなくても。
先の任務で、虎杖悠仁は死亡している、と。