第8章 雨後※
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暗く、静かな空間。
意識は薄くぼんやりと漂い
深く底へ沈んでいくような感覚だけがあった。
これに似たものを、知っている。
長い間
時間も日数も何もかも分からないくらいずっと感じていた記憶。
封印されていた記憶
「───────月瑠」
誰かに名前を呼ばれた
聞き覚えのある声
覚ませ、覚ませと訴えかけているようで
"月瑠"
自分の名前
■■■が、そう呼んだ
『───────名は何と言う?』
『……そんなの、ない』
悟‥‥‥??
『そうか──────では───か───だ』
違う、彼じゃない
■■■───────?