第8章 雨後※
「ですが、目を覚まさないのは事実で‥」
「‥‥あぁ‥」
そう。現状、月瑠が目を覚まさないということに変わりは無い。が、理由は上手く言えないが五条にとってそこは大きな不安材料になり得なかった。
どこか、最初彼女と出会ったあの場
封印されていた際の雰囲気に似ている
「五条さん‥?」
もう一度、五条は意識の無い月瑠の頬に手を当てる。もう少しで鼻先が掠めそうなくらい近付き
「───────月瑠」
はやく、起きて、
そう言うかのように、優しく、丁寧に
眠る少女の名前を呼んだ。
「あの‥?」
五条の不可解な行動に伊地知は疑問符を浮かべるしか無かった。その疑問に五条が答える事はなく、名を呼んだ後くるりと向きを変え部屋を後にする。
彼女はすぐに戻る
そう確信しているかのように。
「‥悠仁のとこ戻るよ。どうせ、このあと硝子も来るんでしょ」
「え?、は、はい」