第2章 始めて掴まれて
暗い舞台。
セットもない。
中央に目映いスポットライトが当たる。
左手からライトの中に入る、幼い女の子。
純白だったはずのフリルワンピースが、ぼろぼろに破れて千切られて、髪も靴も泥に汚されていた。
女の子が涙をこらえながら、客席を見つめる。
小さな両手に抱き締められているのは、食い殺された青い鳥。
悲壮あふれる表情が、うつろな瞳とぽっかり開いた唇から、さらに惨劇を物語らせた。
舞台全体を、今度は赤い光が照らす。
女の子のワンピースが、ライトの色に染められる。
叫びながら訴えた言葉が、劇場を轟かせた。
「━━わたしをかえして!!」
すぐさま暗転。
舞台に恐ろしい匂いが放たれる。
照明が再び舞台中央に射された時に、女の子は、小鳥は。