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get back my life![アイナナ]

第7章 今日からお世話になります


 皆さんの笑いがおさまったのは、十分くらい後の事だっただろうか。
 私がおかずに再び箸をつけた所で、また笑いの渦が起こり。
 私が恥ずかしさを我慢しながら、ご飯を食べ終えた所で。
 ようやく、皆さんが笑うのをやめて下さった。
 とにかく恥ずかしかった。
 ごちそうさまをして、食器を洗って片付けると。
 私は和泉さんの斜め後ろに立った。
「あの、和泉さん」
「なんですか」
 いつもクールな和泉さんは、今は少し頬が紅潮している。
 どんだけ笑われたんや。
 いや、とにかく、和泉さんにこれだけは言わなければ。
「お誕生日、おめでとうございます」
「ありがとうございます・・・・・・。ぷっ」
「まだ私を笑いますか?!」
 叫ぶ私とは対照的に、皆さんはまた笑い始める。
 私は、やはり恥ずかしさに耐えきれず。
 食卓から出て階段を上がり、三階の自分の部屋へ真っ直ぐ帰って行った。
 部屋の中に入ると、着替えを持って、銭湯に行く準備をしたが、しかし。
 玄関へ行くにはキッチン、食卓、リビングを通って行かねばならない事に気づいて。
 私は、しばしの間自分の部屋で思案した。
 今、行ったら気まずいだろうなぁ。

 それでも、陸くんの為にもお風呂には入っておいた方が良いに決まっているから。
 私は着替えと入浴セットとコートを手に、下へ降りた。
 降りる決意をするのに、支度の時間を除いて軽く五分はかかってしまったけれど。
 下に着くと、皆さんの声が聞こえる。
 どうやら皆さん、まだ食卓にいらっしゃるようで。
 当たり前の事だけれど、でも、ちょっと心構えをしてからドアを開けた。
「お風呂行ってきます」
 私が、食卓を囲んでいらっしゃる皆さんに声をかけると。
「じゃあ、誰か迎えに行ってやらねえとな」
 と、大和さん。
「私が行きます」
「一織くんは明日の朝早くに、マネージャーとミーティングがあるんだよね? 大丈夫?」
「いおりん、早起き慣れてっから、大丈夫なんじゃね?」
「でも今朝もかなり早かったんだろ? 無理は良くないって。一織は早く寝とけ。俺が迎えに行くから」
 すみません、今朝の和泉さんが早かったのは、多分私のせいです。
 とは、何となく言いにくい。
「あの、お迎えくらい無くても、道は覚えましたから大丈夫ですよ?」
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