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get back my life![アイナナ]

第7章 今日からお世話になります


 食器を洗い、水気をふき取って、棚に戻し、テーブルをアルコール消毒した所で。
 丁度、私の出勤時刻になった。
 広いこの寮には、私一人だけしか居ない。
 それがなんだか少しおかしな事に思える。
 この場所は、アイドリッシュセブンの皆さんの居場所であって。
 私の居場所では、ない。
 なのに最後に戸締まりをするのは私なのだ。
 変な事だと思う。
 でも、それだけ信用されてる証みたいで。
 嫌な気分には、ちっともならなかった。
 自分の部屋の戸締まりは、しっかりしている。
 共有スペースの窓は、全て確認済みだ。
 元々皆さんしっかりしていらっしゃる人の方が多いから、私がするのは玄関ドアの鍵くらい。
 貴重品の入った薄い鞄を持ち、かかとが高い靴を履いて、玄関ドアの鍵を閉める。
 ガチャリと、少し重たい音を聞きながら、思った。
 そういえば、帰ってくる時は皆さんどれくらいの時間になるのだろうか、と。
 駅へ向かい、電車に乗って、事務所に着くまでの通勤時間で、私は一生懸命考えた。
 鍵、私が持ったままじゃマズイんじゃなかろうか。

 事務所に着いた。
 直行で事務室へ入る。
 誰か居てくれてたら、鍵の事を相談しようと思っていた。
 でも、事務室には誰も居なかった。
 大神さんの姿も無い。
 私は、仕方なく一人で仕事を始める事にした。
 今日こそは、パソコンを上手く使いこなしてみせるぞ、と意気込みながら。
 机に向かい、パソコンを起動させ、軽く伸びをする。
 両手を組み、手のひらを外側に向けて腕を伸ばした。
 と、ほぼ同時に、事務室の電話が鳴る。
 私はすぐに電話を受け取った。
「はい、小鳥遊事務所です」
「あらすみません、八乙女事務所の者ですが。今そちらにアイドリッシュセブンのマネージャーさんはいらっしゃる?」
 声の雰囲気で、おそらく相手は姉鷺さんだろうなと思った。
「すみません、あいにくマネージャーの小鳥遊は席を外しております。本日は小鳥遊は外せない用事が多いので、お話は山中が承ります」
「ああ、あなた新しいマネージャーさんね。今日はあなたしか事務所に居ないのかしら」
「大変申し訳ございません」
「謝らなくても良いのよ、小さな事務所なら、別に良くある事だもの。それで、小鳥遊さんはいつ時間が取れるのかしら?」
 姉鷺さんは、紡さんのスケジュールを知りたがった。
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