第1章 落ちて拾われて
銀髪に紫の瞳の青年が呟いた一言で、状況は反転した。
非力で若い女性が男しか居ない寮に住むのはヤバいだろう、との事。
本当に女の子は一人も居なかったのか。
私が気にしないと言っても、これは世間体が悪すぎる。
それに、男の子と同じ家で女が一人きりの状態を、全く気にならないかと問われれば私だって考える。
逆に考えて女ばかりの寮に男の子を入れるのも危険に感じるのだから、まあ普通の流れかな。
眼鏡の人は断固反対、三月くんも前向きじゃないらしい。
外人さんは私の意思を尊重してくれるって言ってくれたけど。
和泉さんは言わずもがなだし、もう既に過半数が否定的って事だ。
これは諦めるしか無いだろうと思って私が席を立とうとすると、紡さんが声を張り上げた。
「待って下さい! 社長から一つ、皆さんに伝言があるんです」