第6章 彼とのこと
リゾットside
『待って、リゾットさん…!!』
突然夢主に胸を叩かれ、ハッとする。
俺とした事が理性が完全に飛んでいた。
「悪い…」
『私達って、その…何なんですか…?』
俺は最初、その質問の意味が分からなかった。
俺の中ではもう昨日の時点で、夢主を一生守っていく覚悟をしていたからだ。
『ただ、こういうことをする…だけなんですか…?』
夢主が少し涙ぐんでいて、漸く自分がとんでもないことをしでかしたと気付く。
イタリア…いや欧米諸国では基本的に「付き合ってほしい」という所謂ジャポネーゼの"告白文化"というものは無い。
ジャポネーゼのその文化は、ここイタリアでも知っているものは当然多いが、自分とは関係ないと思って気にも留めていなかった。
だが日本で生まれ育った夢主にとっては、まるで俺が曖昧な態度をとっているように見えてしまったのだろう。
「夢主」
夢主をキツく抱き締めた。
「悪かった…俺は何があっても、お前をこれから一生守ると決めた。だから俺のそばにいてくれ…愛してるんだ。」
夢主が俺をキツく抱きしめ返す。
『私も、リゾットさんが大好き…ほんとに、好き…初めて出会った時から好きなの』
夢主が涙ぐんでいる声を聞き顔を見る。
「何故泣くんだ…」
親指でそっと涙を拭う。
夢主は泣いている姿も本当に綺麗だと思った。
『嬉しくて…大好きな人に、そんな事言ってもらえて…』
そこからはもう、止められなかった。
理性なんて吹っ飛んで夢主を抱いた。
今まで閉じ込めていた感情が全部溢れ出した。