第6章 彼とのこと
夢主 side
その日、一日中ついリゾットさんを意識してしまった。
年末で忙しい時期だ。
みんなそれぞれやる事があったりして自分の家に戻ったり、仕事に行ったりしてる。
私は帰る場所もないからアジトにいるしかない。
それで…
『(なんでよりによって…二人きりなの!?)』
本当にたまたまタイミングが重なり、夕方頃には私とリゾットさん以外の皆んなが出かけていた。
リゾットさんはソファに座り書類を見ている。気まずくてどうすればいいか分からない。
自分の部屋に戻るのもいいけど、まるで逃げてるみたいに思われるだろうし。
『あの…リゾットさん、コーヒー飲みますか?』
「ああ、頼む」
何かやってないと気がおかしくなりそうで、私はキッチンに向かった。
リゾットさんに背を向け、コーヒーを入れる。
小さく息を吐いて気持ちを落ち着かせた。
少し、落ち込んでいる自分がいる…何でだろう。
「夢主」
『!?は、はい!』
突然真後ろから名前を呼ばれ、心臓が飛び跳ねた。
振り返ろうとする瞬間、ふわりと大きな腕に背後から抱き締められる。
『リゾット…さん?』
「昨日は一緒に過ごしてくれてありがとな。
正直…凄く良かった。」
低い声で耳元でそう呟かれ、心臓がはち切れそうになった。
『……っ』
私達ってどう言う関係なんですか?
そう聞きたいけど、聞けない。
「もし良ければ、今夜も一緒に過ごせるか…?」
『!……はい』
リゾットさんが私の髪にそっとキスをする。
今夜も…!?
その言葉に胸が高鳴る。
どうしよう…
本当に、リゾットさんに夢中になってしまっている。
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