第5章 本音
リゾットside
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__バタン
自分の部屋に戻りドアを閉める。
そのままベッドに横になって額に手を当てた。
全く…これじゃあただのガキだな。
プロシュートと夢主がキスしそうになっているのを見て、俺は嫉妬を覚えた。どうしても、放っておけなかった。
暫くそのまま目を閉じていると、いつの間にか眠りについていた。
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「!誰だ」
不意に部屋の外で足音がして飛び起きる。
『あ、あの…私です』
「…どうした」
夢主がドアを開けた。内心、先程の出来事でどんな顔をすればいいのか分からなかった。
「要件は何だ…」
『さっきは、ありがとうございます』
「別にいい…お前も、男連中と暮らしてるなら少しは自分で危機感を持て。俺はもう今後は関与しない。」
夢主の顔を見ずにそう言った。
『リゾットさん、ちょっとだけ隣に座ったらダメですか』
「……は、何言って」
俺が答える前に夢主は部屋に入ってくると、勝手にベッドに腰掛けた。
そこで漸く夢主の顔を見ると、耳まで赤くなっている。
「酔ってるのか。」
『全然、私、お酒には強いほうなんですよ』
呂律が回っていない。
既に部屋着に着替えていて、胸元がはだけて妙に色っぽい。
「お前…他のメンバーの部屋にも入ったりした事あるのか」
『ないですよ、リゾットさんだけ。』
その言葉に心底安堵する。
独占欲だけは強い自分に、嫌気がさす。
とろんとした瞳で俺を見つめる夢主。
「…用がないならもう部屋に戻れ」
『そんなに…私と話したくないんですか』
「そういう問題じゃあ…」
思わず言葉が止まる。
夢主が目に涙を浮かべていた。
『…リゾットさん、他に好きな人いるの…?』
俺は正直動揺した。
女を泣かせた事なんていつぶりだろうか。
それも…よりによって自分が惚れてる女を。
『私じゃだめ…?』
思わず額に手を当てる。
しっかり話し合う必要があるかもしれない。
「夢主、よく聞いて欲しい。俺は…暗殺者だ。最低な野郎だ。そして今お前は暗殺者しかいない環境に身を置いてる。だから身近な男に関心が湧くのも分かる…。だが、お前には…真っ当に生きてる男と一緒になって欲しい。」
『…そんなの、リゾットさんが決める事じゃない』
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