第4章 自覚
夢主
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腰をしっかりホールドされていて、逃げられない。
兄貴の大人っぽい香水の匂いが鼻を掠めた。
酔いで頭がぼーっとする。
なんか…もう、いいかな。
どうせリゾットさんには、振られたんだし。
私のことなんて興味もなさそうだし。
兄貴の顔が近づいてくる。
誰かが口笛を吹く。皆んなが騒ぎ立てているのが遠くに感じる。
目をギュッと閉じた。
「おい……またお前かよ、何なんだよ」
『…!』
ゆっくり目を開ける。リゾットさんがいつの間にかそばにいて、プロシュート兄貴の肩を掴んでいた。
「悪ふざけも大概にしろ…プロシュート。」
リゾットさんの低い、怒ったような声色に皆んながシンとなる。
兄貴がリゾットさんを睨みつけた。
プ「なあリゾットよぉ…おめぇ夢主に気があんだろ」
リゾットさんは何も言わない。
プ「まさかテメェが夢主とデキてるわけじゃねぇだろうな?」
プロシュート兄貴が本気で怒ってる感じで、皆んな気まずそうにしていた。
どうしよう、この雰囲気…地獄だ。
『あ、あの…リゾットさんと私はそんなんじゃ…』
「ここでやりあってもいいんだぜ?」
兄貴が立ち上がってリゾットさんの胸ぐらを掴んだ。
「俺は構わないが…後悔するのはお前だぞ。」
リゾットさんが兄貴を見下ろす。
「…あ?」二人が睨み合う。
ペ「なっ!!兄貴もリーダーも、冗談やめてくれよ…ッ」
メ「はいはいそこまで〜」
メローネが二人の間に割って入る。
メ「夢主、何なら僕と今夜はどう?」
『ひゃっ!?』
メローネに耳に息を吹きかけられゾクリとする。
ギ「どさくさに紛れて声かけてんじゃねぇぞメローネ!!!」
イ「っはは、お前ぇらほんとくだらねぇーなぁー」
笑いが起こった。
良かった…さっきのやばい雰囲気を察して、メローネがすかさず話題を変えてくれたんだ。
兄貴は舌打ちをしてソファーにドカッと腰掛けた。
「………。」
リゾットさんは、そのまま何も言わずに部屋を出て行ってしまった。
ホ「けどよ〜さっきのリゾット、ありゃマジに夢主に惚れてんじゃあねぇのか〜?」
イ「夢主の事連れてきたのもあいつだし、あり得るよなぁ」
分からない…リゾットさん、何考えてるのかな。
ただ、守ってくれただけ…かな。
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