第12章 おつかい
「名前さん?」
体育館へ向かう道中声をかけられる。荷物を持ち直し振り返るとテツヤが立っていた
会うのは昨日ぶりだが、なんだか疲れているように見える
『テツヤ、どうしたの?』
「いえ、顔洗いに行こうと思ったら名前さんが居たので」
『わざわざ声かけてくれたの?テツヤは優しいなぁ』
「あの、本屋さんの意味が分かりました。ありがとうございます」
『…そっか、頑張ってね』
こんな早くからテツヤはミスディレクションを見つけて練習してたのかとなんだか保護者のような気持ちが生まれ、彼の頭を撫でようと腕を上げると重い荷物でバランスを崩す
やばいと荷物を手から放したが転倒は止まらない
「危ないっ!」
『わ!』
彼に腕を掴まれ転倒は免れたが今度はテツヤの方へとバランスを崩し始め、反動で2人とも地面へと倒れてしまった
『テ、テツヤ!』
「大丈夫ですか?」
『テツヤこそ下敷きになってるけど大丈夫!?』
「大丈夫です」
『良かった…ごめん重いでしょ?今退くね』
言葉を発した瞬間体育祭で張り合ったどっちが重いか対決を思い出す
紫原とお菓子を食べて太ってしまったんだ大勝利だろうと思い急いで退いて、近くにある荷物を拾う
『ごめんねテツヤ!助けてくれてありがとう』
「結局転んじゃいましたけどね」
『恥ずかしいから内緒にしといて…』
「はい。お気をつけて」
全力でお礼してから荷物を置く前に一軍体育館に顔を出そうと行くと、そこで待っていたのはさつきと虹村先輩だった