第12章 おつかい
「名前ちゃんさー」
『(いきなり名前呼び!?)』
「部活、バスケ部?」
帝光中はバスケが強いからこの制服を見るとバスケを連想するのか、それとも彼がバスケ部だからバスケ部と聞いているのか、どちらにせよ答えは変わらない
『うん。マネージャーやってる』
「うおお!マジで!?マジで!?
いやー持ってるもの的に運動部かなって思ってさ!」
『ああ、買い出しの途中で』
重い荷物に視線を向けると高尾が目を輝かせながら言葉を連々と並べて話す
バスケについてマシンガントークをしてきて相槌を打つことしかできない状況に頷いていると、彼は携帯を掲げる
「てことでアドレス交換しようぜ!」
なんで着地点がそこになるんだと思いながら先ほど高尾の妹と連絡先を交換したばかりの携帯を取り出した
『いいよ』
「じゃ携帯貸して?」
『え、あ、どうぞ』
少し戸惑いながらも高尾に携帯を差し出すと、手慣れた手つきで赤外線通信を始める。なんか予想通り
速攻赤外線通信をした高尾は1分も経たないうちに携帯を返してきた
「はい。できた!困ったこととかあったらいつでも連絡しろよな!」
『あ、ありがと』
困ったことってなんだ困ったことって。紫原と一緒にお菓子食べて太ったことに困っていると考える
「あ、そうだ。妹のこと助けてくれたお礼に送ってやるよ!」
いえ、実はあなたの妹に転んでいるところ絆創膏を頂いて助けられたんですと、そんな恥ずかしいことを口に出すわけにもいかず、先ほど高尾が述べていたことを思い出して疑問をぶつける
『高尾、自転車って言ってなかった?』
「そうだけど?」
『…2人乗り?』
「何当たり前のことをきいてんだよ!」
『捕まるよ?』
「大丈夫だって!ほら行くぞ、あっちに停めてあっから!」
その瞬間にあたしの荷物を奪った後腕を掴み、スタスタと進む。しばらくすれば駐輪場があり、高尾の自転車らしきものがあった