第12章 おつかい
「そうそこ、じゃあね」
『どうだった?』
「部活午後からで、近くに居るからすぐに来るって」
『へぇ、良かったね』
微笑むとお嬢ちゃんは照れながらも微笑み返してくれた
そんな笑顔を可愛いなと見ていると、彼女の視線があたしの持つ携帯を見ていることに気がつく
「お姉ちゃん携帯持ってるの?アドレス交換したいな」
『いいよ。部活で忙しいから返信遅いかもだけど…良い?』
「部活?何やってるの?」
『バスケ部のマネージャーを』
「あ、お兄ちゃんと一緒だ」
『…お兄ちゃん?』
「うん。このプレゼント渡すのもお兄ちゃん」
赤いカチューシャに、バスケ部、お兄ちゃんってことは妹がいる男、思い当たる人が1人浮かび上がる
お嬢ちゃんの名前も聞いていなかったしアドレスを登録するついでに聞いてみることにした
『お嬢ちゃん、名前は「お待たせー!急に呼び出してどったのー?」』
やっぱりこのテンションの高さにコミュ力。予想は当たっていたようだった
「あれ?その制服帝光中なの?バスケの強いところじゃん!」
「お姉ちゃん、色々手伝ってくれたの。あ、名前…」
『初めまして苗字名前、見た通り帝光中で1年生です』
「うっわタメじゃん!初めまして!高尾 和成です☆」
『(…その☆はいるのか?)』
「お兄ちゃんテンション高いから、ついていくのが大変なの…」
はぁ…と溜め息を吐きながら呆れたように言うお嬢ちゃん。なるほど、納得した
こんなテンションの高い人と居れば大人びていくわけだと苦笑いを浮かべる
『…とりあえず、プレゼント渡したらどうかな?』
「うん。どうぞ」
「…これって」
「お兄ちゃん、11月誕生日」
あ、なるほど赤いカチューシャは妹からのもらった物だったけと思い出す
ラッピングを開けると先ほどお嬢ちゃんが買った赤いカチューシャが出てきた
「うわーまじサンキュ!
連絡受けて母さんが迎え来てたぜ。さっき下で車乗ってるとこ見かけた」
「お兄ちゃんは?」
「オレチャリ」
「分かった。じゃあねありがとう!お姉ちゃん!」
『バイバーイ』
お嬢ちゃんと別れて、残るのは大荷物を抱えているあたしと高尾の2人だけだった